2021年10月17日日曜日

引き続きギターメンテの話 - Continue talking about guitar maintenance.

引き続きギターメンテの話です。

前回で作業が完了し、今回は肝心の音をお聞かせする予定でしたが急遽追加作業が発生(涙)。

なので今回はそのお話を。

二弦のビビり

全ての調整が完了し、サドルも良い感じの高さに出来て試し弾きをしていたのですが、調整完了時から気になっていたのが二弦開放時のビビり。

とりあえず二弦だけサドルを高くして対処しましたが、当然弾きにくい(涙)。
他の弦も同事象であればネックの反りなどを疑いますが、特定の弦のしかも開放時にビビるってことは、原因はほぼ

ナット!

ってことでナットをよく見ると、確かに二弦だけ微妙に弦溝が低い(深い)。
いうなれば食い込んでいる。

暫定的な対処方法としては瞬間接着剤で溝を埋めて溝を切り直すという手もありなのですが、どうせならと自分でナット交換をしました。

初めてのナット交換

ナット交換は楽器屋さんにお願いすることが多いと思いますが、最近では色々なナットも手に入りやすいので自身でやる方も増えています。

ただし楽器屋さんがお金を取ってやっているということは、当然ですが素人作業では指板やネックの破損などのリスクがあります。

また交換後の調整も面倒です。

今回は勉強と思い、リスクを覚悟して自分で作業をすることにしました。
ちなみにもしこれが数十万円のギターだったら、迷わず楽器屋さんへ持ち込んで依頼しています(笑)。

交換したナットは

古いのが一般的な牛骨だったのですが、新しいのは人口象牙といわれハイエンド・ギターにも使われている

グラフテック社のTASQナット

にしました。

ナット交換作業で特に難しいのは「溝切り」なのですが、この製品にはフェンダー用やギブソン用などの特定機種向けの他に溝切り済みも用意されているのでそちらを購入しました。
※購入したのはストラトキャスター用で底がフラット、溝切り済みのPQ-5010-00

ちなみに溝切り済みのナットを購入する際のポイントは、幅・高さ・厚さが今のナットと同じか大きいことですが、

最も重要なのはEtoE

という1弦から6弦までの間隔です。

これが極端に変わると弾き辛くなりますし、弦落ちなどの原因になります。
今回購入したものは古いナットと比べ、EtoEが約1㎜狭かったのですが許容範囲内としました。

交換作業

作業方法はネットにもYouTubeにも多数あるので、詳しくは書きません。

主な流れとしては

  • 古いナットを外す
  • 古いナットを見本に新しいナットを削ってサイズを合わせる
  • 仮装着し、弦高を調整する
  • 弦高が決まったら接着剤で装着する

です。

基本的な作業自体は簡単です。

道具は溝切りをしないのであれば特殊なものは必要なく、紙ヤスリ、マイナス・ドライバー、小型のプラスチック(もしくはゴム)・ハンマー、それと瞬間接着剤などがあればOK。
あとはノギスがあればなお良いです。

先ず古いナットを慎重に外します。
※この作業が最も指板やネックの破損リスクがあります。

方法はいくつかありますが、私は古いナットと指板の境目にデザインナイフで少し切れ目を入れ、そこにマイナス・ドライバを当ててハンマーで上方向に軽く叩いて外しました。

次に古いナットを見本にして新しいナットを加工します。

情報では「紙ヤスリで簡単に削れる」「サクサク削れるので削り過ぎに注意」とあったので、用心のために目の細かな(#1000)紙ヤスリで始めたのですが・・・

削れねー(涙)

高さを数ミリ削らなければならないのに全然進まず、目の粗い紙ヤスリ(#400)へ変更。
少しは削れるようになったのですが、それでも思うように進まないためどんどん目の粗い紙ヤスリに変更し、最終的には#60というザラザラのものに。

概ねサイズがあったら仮に取り付けてサドルの高さを調整、チューニングして開放や全フレットを押さえてビビりが出ないか確認します。
あとは好みの弦高(サドルの高さ)になるまで、コンマ数ミリ削る毎にこの作業の繰り返し。

高さが確定したら、次は幅を削って合わせます。
これも少し削っては取り付けて確認を繰り返します。

削る作業が全て完了したら、ナットの底に微量(両端につまようじの先で一滴ずつくらい)の瞬間接着剤を垂らし、取り付けて終了です。

自分で交換してみた感想

先ず他人に勧めるかと言うと

積極的には勧めません

正直、時間と労力が掛かるしネックや指板の破損リスクもあるので。
私も一日半を丸々費やしました。
「コンマ数ミリ削っては確認」って作業を楽しめる人じゃないと無理だと思いました(笑)。

楽器店に頼むと、料金はナット(牛骨)の部品代込みでだいたい7千円~1万5千円くらいです。
お店によってはネックの調整も込みでやってくれるので、時間や労力と料金を天秤に掛けると楽器店に頼むのは全然アリだと思います。

でも、ギターを何本も持っている方には7千円でも負担ですよね。
また、安ギターに7千円を掛けるかというとそれも・・・。

なので積極的には勧めませんが、安いギターやリスクを覚悟でやるとか色々なナットを試してみたいという方なら

作業自体のハードルは低く、調整が面倒なだけ

なのでトライしてみてください。

ちなみに今回購入したTASQナットは1千円で、牛骨ナットだと500円くらいで買えます。

次回はいよいよこいつの音をお聞かせします。

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